レディ・ジョーカー(下)/登場人物の内面を繊細に描き出す人間ドラマの結末

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レディ・ジョーカー(下)

オススメ度[ ★★★★ ]

高村薫著 / 毎日新聞社 / \1,785 / ISBN:4620105805

 レディ・ジョーカーの犯行が起こり、いよいよ警察の捜査が本格的になります。それに合わせて新聞も事件の真相に迫ろうと動き出します。

 警察に協力しきれない被害者である企業、何とか情報を探ろうとするうちに闇社会に引きずり込まれていく事件記者、事件の真相に迫り犯人の検討をつけつつも証拠を掴みきれずにいる警察。そして、ひとまず犯行を一段落させたレディ・ジョーカーの事件をきっかけに広がる事件・事故の波紋。

 人間模様、心の内面、ダイナミックに展開するそれぞれの未来が細やかに書き綴られます。

 レディ・ジョーカーの犯行の目的はなんだったのか、レディ・ジョーカーはきっかけに過ぎなかったのか、そして、事件はどういう顛末を迎えるのか?

 事件が起こるまでの人間模様を事細かに書き綴る上巻では、ここまで分量多く書く必要があるのだろうか?と思ってしまうほどで退屈に感じてしまうかもしれません。また、サスペンスだと思って読んでいたはずなのに、サスペンス映画のような息もつかせぬスピード感がないと思うかもしれません。
この、事細かな状況描写、心理面の描写こそが高村薫の特徴であり、読み終わって思うことは、サスペンス小説ではない何かであったのだということです。そして、それは時には「純文学」という言葉で表されることがあります。

 緻密な世界観にどっぷりと浸かれる本書は、ある意味で面倒くさいと思いながらもいつの間にか引き込まれていく、不思議な魅力を持っています。

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